Quest・スマホ対応
Quest やスマホの人には、パソコン用のアバターは見えません。見てもらうには、軽くした別の版(Android 版・iOS 版)を、同じアバターにアップロードします。なぜ別の版が要るのか、何が使えないのか、どう作るのかを解説します。
公開 · 数字は VRChat の公式の資料(2026年11月時点)からです。
こんなときに読んでください
- Quest の友だちから、自分のアバターがぼやけた姿やロボットに見えると言われた。
- パソコン用に改変したアバターを、Quest やスマホの人にも見てもらいたい。
- Quest 版をアップロードしたのに、見えないと言われる。
なぜ別の版が要るのか
VRChat は、パソコン(Windows)と、Android(Quest やスマホ)、iOS(iPhone や iPad)で動きます。アバターはそれぞれ別の形で作ってアップロードします。Quest やスマホは、パソコンよりずっと性能が低いので、重いものや一部の部品は使えません。
アップロードするときは、同じアバター(同じ Blueprint ID)に、パソコン版と Android 版を並べて入れます。見る人の機器に合う版が、自動で選ばれます。
Quest の人からは、どう見えるか
- Android 版がある
- Android 版のアバターが見えます。ただし、ランクが低いと見えないことがあります(下の「ランクの厳しさ」)。
- パソコン版しかない
- VRChat が自動で作ったインポスター(板を組み合わせた、ぼやけた身代わり)が見えます。インポスターを切っていると、その人が選んだフォールバックのアバター(ロボットなど)になります。
- インポスターについて
- インポスターは、VRChat のサイトの自分のアバターのページで、作り直すこともできます。人型のアバターだけに対応しています。あくまで身代わりなので、表情や服のオンオフは伝わりません。
Quest・スマホで使えないもの
Quest・スマホのアバターでは、次のものが使えません。入っていると、消されたり、動かなかったりします。
- シェーダーは、VRChat が用意した「VRChat/Mobile」のものだけです。lilToon などのシェーダーは使えません。
- ライト(Light)、カメラ、Cloth、音(Audio Source)、Rigidbody や Collider などの物理の部品は、まったく動きません。
- Unity の Constraint は動きません。VRChat Constraint を使います。Dynamic Bone も動かないので、PhysBone を使います。
- パーティクルは、きびしく制限されます。
- Android 版のアバターは、圧縮したあとで 10MB を超えるとアップロードできません。5〜8MB を目安にします。
使えるシェーダー
| シェーダー(VRChat/Mobile/…) | 向いているもの |
|---|---|
| Toon Standard | トゥーン調のアバターに。影の色やリムライト、マットキャップなどを設定できます。迷ったらこれ。 |
| Toon Lit | 平らな色の、アニメ調のアバターに。設定が少なく、とても軽いです。 |
| Standard Lite | Unity の Standard に近い、写実的な見た目に。 |
| Matcap Lit | 金属のような光るところに。 |
| Diffuse など | 色だけを出す、いちばん簡単なものです。 |
半透明(髪の毛先のぼかしなど)は使えないので、不透明か、くっきり切り抜く形にします。マテリアルの「Enable GPU Instancing」は、オンにしておきます。
- Shader の一覧から「VRChat/Mobile」を選び、その中のシェーダーにします。ほかのシェーダーのままだと、Quest ではピンク色や、見えない姿になります。
- 軽くするために、オンにしておきます。
ランクの厳しさ
Quest・スマホでは、パフォーマンスランクの基準が、パソコンよりずっと厳しくなります。そのうえ、Quest・スマホの人は、はじめの設定では Medium までしか見えません。Poor と Very Poor のアバターは、インポスターかフォールバックになります。
見る人は、設定で Poor まで見えるようにはできますが、Very Poor は見えるようにできません(相手を選んで「Show Avatar」を押せば、1人ずつは見えます)。Quest 版は Medium 以上を目指します。
| 項目 | パソコン(Poor まで) | Quest・スマホ(Poor まで) | Quest・スマホ(Medium まで) |
|---|---|---|---|
| ポリゴン(三角形) | 70,000 | 20,000 | 15,000 |
| マテリアル | 32 | 4 | 2 |
| Skinned Mesh | 16 | 2 | 2 |
| テクスチャのメモリ | 150 MB | 40 MB | 25 MB |
| PhysBone の数 | 32 | 8 | 6 |
Quest・スマホでは、PhysBone は 8 個まで、Contact は 16 個までという上限もあります。これを超えると、「Show Avatar」で表示しても、PhysBone などがすべて消されます。ランクのしくみは第6回 パフォーマンスランクと軽量化で詳しく解説しています。
まず、販売ページを確かめる
多くのアバターや衣装は、販売ページに「Quest 対応」と書かれていて、Quest 用のデータが入っています。入っていれば、それを使うのがいちばんの近道です。Quest 用のプレハブを置いて、同じように改変します。
Quest 用のデータが無いときは、自分で軽くします。衣装やアクセサリーを足すほど重くなるので、Quest 版はシンプルな姿にするのがおすすめです。
Quest 版を作る手順
- Unity に「Android Build Support」が入っているかを確かめます。入っていなければ、Unity Hub で足します(第3回 Unity Hub で Unity を入れる)。
- パソコン版のアバターを複製して、Quest 用にします。元のアバターに手を入れないので、パソコン版はそのまま残せます。
- VRChat SDK のコントロールパネル(
VRChat SDK → Show Control Panel)の「Builder」タブで、Platform を「Android」に切り替えます。確認が出たら進めます。 - Quest 用のアバターのマテリアルを、すべて「VRChat/Mobile」のシェーダーに変えます。マテリアルを分けておくと、パソコン版の見た目を壊しません。
- 使えない部品(ライト、Cloth、音、Unity の Constraint など)を消します。SDK のコントロールパネルに出る警告やエラーも見ます。
- ポリゴン、マテリアル、PhysBone を減らして、ランクを Medium 以上にします。
- パソコン版と同じ Blueprint ID にアップロードします。同じプロジェクトでアバターを複製したなら、Pipeline Manager の ID もそのまま入っています。
- Quest の人に見てもらうか、自分の Quest で確かめます。
AuthenticationBuilderContent ManagerSettings
Build
- アップロードする先を選びます。印を付けたものを、まとめてアップロードできます。いま開いている先と違うものを選ぶと、切り替えの確認が出ます。
- 押すと、選んだ先ごとにビルドしてアップロードします。Android に切り替えると、はじめは全部を読み込み直すので、時間がかかります。
手間を減らすツール
- VRChat の資料では、パソコン版と Quest 版で設定を切り替える「EasyQuestSwitch」が紹介されています。VCC から入れられます。
- パソコン版のアバターを複製して、Quest 用のマテリアルやテクスチャを作り、使えない部品を消すツール「VRCQuestTools」もあります。ただし、ランクまでは軽くしてくれないので、そのままでは Very Poor になりがちです。
- パソコン版と Quest 版で別々のアバターを用意したときは、SDK の「Per-Platform Override」で、1つのアバターにまとめてアップロードできます。
パソコン版と Quest 版でそろえること
- ボーンの組み立て(Armature)はそろえます。頭、手、足などの大事なボーンの名前や並び、Hips の大きさと向きを変えると、ほかの機器から見たときに、おかしな動きになります。髪やスカートのボーンを減らすのはかまいません。
- Expression のメニューとパラメーターも、そろえておくと安心です。片方だけにある服のオンオフなどは、もう片方の人からは変わって見えません。
iOS(iPhone・iPad)
iOS 版の VRChat もあります。作り方は Android 版とほぼ同じで、使えないものや基準も同じです。iOS 版を作るには、Unity Hub で「iOS Build Support」を足して、Platform で「iOS」を選んでアップロードします。
iOS 版が無いアバターは、iOS の人からはインポスターに見えます。
よくある困りごと
ピンク色になる
- 起きること
- Quest の人から、アバターの一部や全部がピンク色に見えると言われる。
- 原因
- Quest 版に、VRChat/Mobile 以外のシェーダーのマテリアルが残っています。
- 直し方
- Quest 用のアバターのマテリアルを、1つずつ VRChat/Mobile のシェーダーに変えます。衣装やアクセサリーのマテリアルも見落とさないようにします。
ぼやけた姿・ロボットに見える
- 起きること
- Quest の人から、ぼやけた姿(インポスター)やロボットに見えると言われる。
- 原因
- Android 版がアップロードされていないか、パソコン版と別のアバター(別の Blueprint ID)にアップロードしています。
- 直し方
- Platform を Android にして、パソコン版と同じ Blueprint ID にアップロードします。VRChat のアバターの詳細で、Android 版があるかを確かめます。
Quest 版があるのに見えない
- 起きること
- Android 版をアップロードしたのに、Quest の人からは見えない。
- 原因
- ランクが Poor か Very Poor です。Quest・スマホの人は、はじめの設定では Medium までしか見えません。
- 直し方
- ポリゴン、マテリアル、PhysBone などを減らして、Medium 以上にします。SDK のコントロールパネルで、Android のときのランクを確かめます。
切り替えにとても時間がかかる
- 起きること
- Platform を Android に切り替えると、何十分も待たされる。
- 原因
- はじめて切り替えるときは、テクスチャなどを全部読み込み直すためです。
- 直し方
- はじめの1回は待ちます。2回目からは速くなります。切り替えの途中で Unity を閉じないでください。
片方だけ更新してしまった
- 起きること
- パソコン版だけ改変してアップロードしたら、Quest の人からは前の姿のまま見える。
- 原因
- Android 版を、アップロードし直していません。版ごとに別々に入っています。
- 直し方
- Quest 版にも同じ改変をして、アップロードし直します。Platform で Windows と Android の両方に印を付けると、まとめてアップロードできます。
気をつけること
- VRChat は、Very Poor の Quest・スマホのアバターを、これから先は使えなくするかもしれないと案内しています。Quest 版は Very Poor にしないでください。
- Quest 版は、自分の Quest か、Quest の友だちに見てもらって確かめます。パソコンの Unity では、Quest での見た目はわかりません。
- 改変したものを Quest 版にするときも、アバターや衣装の利用規約を守ります。Quest 版の改変やアップロードを認めているかも確かめます。
まとめ
- Quest やスマホの人に見てもらうには、Android 版(iOS 版)を、パソコン版と同じ Blueprint ID にアップロードします。
- シェーダーは VRChat/Mobile だけ。ライトや Cloth、音などは使えません。
- Quest・スマホの人は、はじめは Medium までしか見えないので、Medium 以上を目指します。
- まずは販売ページで、Quest 用のデータがあるかを確かめます。