アバター改変の解説 第7回

Quest・スマホ対応

Quest やスマホの人には、パソコン用のアバターは見えません。見てもらうには、軽くした別の版(Android 版・iOS 版)を、同じアバターにアップロードします。なぜ別の版が要るのか、何が使えないのか、どう作るのかを解説します。

公開 · 数字は VRChat の公式の資料(2026年11月時点)からです。

こんなときに読んでください

  • Quest の友だちから、自分のアバターがぼやけた姿やロボットに見えると言われた。
  • パソコン用に改変したアバターを、Quest やスマホの人にも見てもらいたい。
  • Quest 版をアップロードしたのに、見えないと言われる。

なぜ別の版が要るのか

VRChat は、パソコン(Windows)と、Android(Quest やスマホ)、iOS(iPhone や iPad)で動きます。アバターはそれぞれ別の形で作ってアップロードします。Quest やスマホは、パソコンよりずっと性能が低いので、重いものや一部の部品は使えません。

アップロードするときは、同じアバター(同じ Blueprint ID)に、パソコン版と Android 版を並べて入れます。見る人の機器に合う版が、自動で選ばれます。

Quest の人からは、どう見えるか

Android 版がある
Android 版のアバターが見えます。ただし、ランクが低いと見えないことがあります(下の「ランクの厳しさ」)。
パソコン版しかない
VRChat が自動で作ったインポスター(板を組み合わせた、ぼやけた身代わり)が見えます。インポスターを切っていると、その人が選んだフォールバックのアバター(ロボットなど)になります。
インポスターについて
インポスターは、VRChat のサイトの自分のアバターのページで、作り直すこともできます。人型のアバターだけに対応しています。あくまで身代わりなので、表情や服のオンオフは伝わりません。

VRChat の資料:Impostors(新しいタブで開きます)

Quest・スマホで使えないもの

Quest・スマホのアバターでは、次のものが使えません。入っていると、消されたり、動かなかったりします。

  • シェーダーは、VRChat が用意した「VRChat/Mobile」のものだけです。lilToon などのシェーダーは使えません。
  • ライト(Light)、カメラ、Cloth、音(Audio Source)、Rigidbody や Collider などの物理の部品は、まったく動きません。
  • Unity の Constraint は動きません。VRChat Constraint を使います。Dynamic Bone も動かないので、PhysBone を使います。
  • パーティクルは、きびしく制限されます。
  • Android 版のアバターは、圧縮したあとで 10MB を超えるとアップロードできません。5〜8MB を目安にします。

VRChat の資料:Android Content Limitations(新しいタブで開きます)

使えるシェーダー

シェーダー(VRChat/Mobile/…)向いているもの
Toon Standardトゥーン調のアバターに。影の色やリムライト、マットキャップなどを設定できます。迷ったらこれ。
Toon Lit平らな色の、アニメ調のアバターに。設定が少なく、とても軽いです。
Standard LiteUnity の Standard に近い、写実的な見た目に。
Matcap Lit金属のような光るところに。
Diffuse など色だけを出す、いちばん簡単なものです。

半透明(髪の毛先のぼかしなど)は使えないので、不透明か、くっきり切り抜く形にします。マテリアルの「Enable GPU Instancing」は、オンにしておきます。

再現図:Unity の Inspector(Quest 用のマテリアル)。名前は例です
  1. Shader の一覧から「VRChat/Mobile」を選び、その中のシェーダーにします。ほかのシェーダーのままだと、Quest ではピンク色や、見えない姿になります。
  2. 軽くするために、オンにしておきます。

ランクの厳しさ

Quest・スマホでは、パフォーマンスランクの基準が、パソコンよりずっと厳しくなります。そのうえ、Quest・スマホの人は、はじめの設定では Medium までしか見えません。Poor と Very Poor のアバターは、インポスターかフォールバックになります。

見る人は、設定で Poor まで見えるようにはできますが、Very Poor は見えるようにできません(相手を選んで「Show Avatar」を押せば、1人ずつは見えます)。Quest 版は Medium 以上を目指します。

項目パソコン(Poor まで)Quest・スマホ(Poor まで)Quest・スマホ(Medium まで)
ポリゴン(三角形)70,00020,00015,000
マテリアル3242
Skinned Mesh1622
テクスチャのメモリ150 MB40 MB25 MB
PhysBone の数3286

Quest・スマホでは、PhysBone は 8 個まで、Contact は 16 個までという上限もあります。これを超えると、「Show Avatar」で表示しても、PhysBone などがすべて消されます。ランクのしくみは第6回 パフォーマンスランクと軽量化で詳しく解説しています。

VRChat の資料:Avatar Performance Ranking System(新しいタブで開きます)

まず、販売ページを確かめる

多くのアバターや衣装は、販売ページに「Quest 対応」と書かれていて、Quest 用のデータが入っています。入っていれば、それを使うのがいちばんの近道です。Quest 用のプレハブを置いて、同じように改変します。

Quest 用のデータが無いときは、自分で軽くします。衣装やアクセサリーを足すほど重くなるので、Quest 版はシンプルな姿にするのがおすすめです。

Quest 版を作る手順

  1. Unity に「Android Build Support」が入っているかを確かめます。入っていなければ、Unity Hub で足します(第3回 Unity Hub で Unity を入れる)。
  2. パソコン版のアバターを複製して、Quest 用にします。元のアバターに手を入れないので、パソコン版はそのまま残せます。
  3. VRChat SDK のコントロールパネル(VRChat SDK → Show Control Panel)の「Builder」タブで、Platform を「Android」に切り替えます。確認が出たら進めます。
  4. Quest 用のアバターのマテリアルを、すべて「VRChat/Mobile」のシェーダーに変えます。マテリアルを分けておくと、パソコン版の見た目を壊しません。
  5. 使えない部品(ライト、Cloth、音、Unity の Constraint など)を消します。SDK のコントロールパネルに出る警告やエラーも見ます。
  6. ポリゴン、マテリアル、PhysBone を減らして、ランクを Medium 以上にします。
  7. パソコン版と同じ Blueprint ID にアップロードします。同じプロジェクトでアバターを複製したなら、Pipeline Manager の ID もそのまま入っています。
  8. Quest の人に見てもらうか、自分の Quest で確かめます。
再現図:VRChat SDK のコントロールパネル(Builder タブ)。並びや見た目は簡単にしています
  1. アップロードする先を選びます。印を付けたものを、まとめてアップロードできます。いま開いている先と違うものを選ぶと、切り替えの確認が出ます。
  2. 押すと、選んだ先ごとにビルドしてアップロードします。Android に切り替えると、はじめは全部を読み込み直すので、時間がかかります。

手間を減らすツール

  • VRChat の資料では、パソコン版と Quest 版で設定を切り替える「EasyQuestSwitch」が紹介されています。VCC から入れられます。
  • パソコン版のアバターを複製して、Quest 用のマテリアルやテクスチャを作り、使えない部品を消すツール「VRCQuestTools」もあります。ただし、ランクまでは軽くしてくれないので、そのままでは Very Poor になりがちです。
  • パソコン版と Quest 版で別々のアバターを用意したときは、SDK の「Per-Platform Override」で、1つのアバターにまとめてアップロードできます。

パソコン版と Quest 版でそろえること

  • ボーンの組み立て(Armature)はそろえます。頭、手、足などの大事なボーンの名前や並び、Hips の大きさと向きを変えると、ほかの機器から見たときに、おかしな動きになります。髪やスカートのボーンを減らすのはかまいません。
  • Expression のメニューとパラメーターも、そろえておくと安心です。片方だけにある服のオンオフなどは、もう片方の人からは変わって見えません。

iOS(iPhone・iPad)

iOS 版の VRChat もあります。作り方は Android 版とほぼ同じで、使えないものや基準も同じです。iOS 版を作るには、Unity Hub で「iOS Build Support」を足して、Platform で「iOS」を選んでアップロードします。

iOS 版が無いアバターは、iOS の人からはインポスターに見えます。

よくある困りごと

ピンク色になる

起きること
Quest の人から、アバターの一部や全部がピンク色に見えると言われる。
原因
Quest 版に、VRChat/Mobile 以外のシェーダーのマテリアルが残っています。
直し方
Quest 用のアバターのマテリアルを、1つずつ VRChat/Mobile のシェーダーに変えます。衣装やアクセサリーのマテリアルも見落とさないようにします。

ぼやけた姿・ロボットに見える

起きること
Quest の人から、ぼやけた姿(インポスター)やロボットに見えると言われる。
原因
Android 版がアップロードされていないか、パソコン版と別のアバター(別の Blueprint ID)にアップロードしています。
直し方
Platform を Android にして、パソコン版と同じ Blueprint ID にアップロードします。VRChat のアバターの詳細で、Android 版があるかを確かめます。

Quest 版があるのに見えない

起きること
Android 版をアップロードしたのに、Quest の人からは見えない。
原因
ランクが Poor か Very Poor です。Quest・スマホの人は、はじめの設定では Medium までしか見えません。
直し方
ポリゴン、マテリアル、PhysBone などを減らして、Medium 以上にします。SDK のコントロールパネルで、Android のときのランクを確かめます。

切り替えにとても時間がかかる

起きること
Platform を Android に切り替えると、何十分も待たされる。
原因
はじめて切り替えるときは、テクスチャなどを全部読み込み直すためです。
直し方
はじめの1回は待ちます。2回目からは速くなります。切り替えの途中で Unity を閉じないでください。

片方だけ更新してしまった

起きること
パソコン版だけ改変してアップロードしたら、Quest の人からは前の姿のまま見える。
原因
Android 版を、アップロードし直していません。版ごとに別々に入っています。
直し方
Quest 版にも同じ改変をして、アップロードし直します。Platform で Windows と Android の両方に印を付けると、まとめてアップロードできます。

気をつけること

  • VRChat は、Very Poor の Quest・スマホのアバターを、これから先は使えなくするかもしれないと案内しています。Quest 版は Very Poor にしないでください。
  • Quest 版は、自分の Quest か、Quest の友だちに見てもらって確かめます。パソコンの Unity では、Quest での見た目はわかりません。
  • 改変したものを Quest 版にするときも、アバターや衣装の利用規約を守ります。Quest 版の改変やアップロードを認めているかも確かめます。

まとめ

  • Quest やスマホの人に見てもらうには、Android 版(iOS 版)を、パソコン版と同じ Blueprint ID にアップロードします。
  • シェーダーは VRChat/Mobile だけ。ライトや Cloth、音などは使えません。
  • Quest・スマホの人は、はじめは Medium までしか見えないので、Medium 以上を目指します。
  • まずは販売ページで、Quest 用のデータがあるかを確かめます。

アバター改変の解説の一覧